CADオペレーターの給料はどれくらい?給料アップのポイントと併せて解説

今回はCADオペレーターの仕事の中でも、特に気になる給与の話を中心に、詳しく紹介していきます。

地域による意外な給与の差や、給与・給料をアップさせるポイントなども解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

CADオペレーターの仕事とは

CADとは、「Computer Aided Design」の略で、パソコンにインストールし、設計図面を描くとき、作業を支援するソフトのことです。

建築や土木の平面図や立面図、断面図のほか、機械設計などで使われる三角法の図面にも対応しているので、電気設計、自動車設計、さらにはアパレル、インテリアまで、あらゆるものづくりの世界で利用されています。

ソフトを使い、図面を作成するのが、主な仕事です。

設計者やデザイナーが考え出した制作物を元に、図面や仕様書で表現したり、既存の図面をソフトを使用して修正を加えたりすることになります。

CADが普及しはじめたデジタル図面の黎明期は、設計者とは別の人が作業することが多かったようです。

しかし、現在はパソコンに馴染みのあるデジタル世代が、設計者として第一線で活躍するようになり、性能の進化も手伝ってか、設計者やデザイナーが自分で操作し、図面の作成まですることが多くなっています。

それに伴い、かつてのようにただ単に作図できるだけの仕事は、以前より少なくなってきているという現状があります。

腕の見せどころは、やはり図面の正確さとスピードですが、現在はそれにプラスし、各業界専門の知識を身に付けることで、企業から求められる人物になることができます。

さらに近年は、3DCADにも対応が求められており、新しい技術に関心を持つことも求められています。

また魅力は、雇用形態の多様さです。正社員、契約社員、派遣社員、パート・アルバイトや在宅ワークの形態があり、それぞれのライフスタイルに合わせた働き方を選択することができます。

近年は、女性の仕事としても注目されており、結婚や出産でフルタイムでの勤務が難しい場合でも、スキルを持っていると、ライフスタイルに合った働き方をすることができるでしょう。

さまざまな方向からみる平均給料

年齢別にみる平均給料

平均年収を年齢別にみていくと以下のようになります。

・20〜25歳

265万円程度

・26〜30歳

310万円程度

・30代

313万円程度

・40代~

335万円程度

・全世代

305万円程度

このデータは現在働く方を年齢ごとに分け、年収を割り出したものです。新卒で技術が未熟な20代の前半を除いて、どの世代も約300万円程度であることが分かります。

20代前半では未経験者として雇われていることが多く、大きな報酬は望めないようですが、20代後半になると、スキルがアップするとともに経験も積んでいるため、報酬にも反映されていることがわかります。

30代以降、年収の差が緩やかであるのは、多くの方が各業界の設計士やデザイナーへとキャリアアップしているためでしょう。

20代のうちにスキルを積み、各業界の専門的な知識まで身につけておくと、一定の収入を保ちながら、多様な働き方を選択できるのもこの職業の魅力と言えるでしょう。

正社員の平均給料

■建築分野

・20代

337万円

・30代

346万円

・40代

362万円

■機械分野

・20代

340万円

・30代

373万円

・40代

396万円

このデータは、建築と機械に分けてそれぞれの平均年収を比較してみたものです。

このデータから、働き始めの段階ではどちらも同等程度の年収でありますが、30代になると建築系の年収が伸び悩んでいることがわかります。

ただし、これはただ単に図面が描けるだけで働いていた場合です。

関連する資格を取得したり、技術や知識を身につけたりすれば、大きく給料に差が出てきます。

機械系は、経験を積むと設計業務の他に、開発に近い業務を任されることもあり、これには難しい専門知識や3DCADの技術が必要とされるため、給与がやや高い傾向にあります。

しかし、建築系も、経験を積みながら、各業界の知識を豊富に身につけたり、関連する資格を取得することで、給料アップが期待できます。

どの分野で働くにせよ、長く働くのであれば、業務をこなしながら、各業界の知識を豊富に身につけることが重要なカギと言えるでしょう。

たとえば、建築分野であれば、建築士などの国家資格取得を目指し、設計士として活躍の場を広げていくことが必要です。そうすればおのずと給料のアップも見込めるでしょう。

他にも、福祉住環境コーディネーター、インテリアに関連する分野であれば、インテリアコーディネーター、インテリアプランナー、インテリア設計士など給料アップが期待できる資格はさまざまです。

今後、自分がどのような道を歩んでいきたいのか、どういった仕事を手掛けていきたいのか十分に考えたうえで、取得する資格を選んでみてください。

なお、正社員の平均年収は、働く地域によっても大きく異なる傾向にあります。機械、建築など全体の平均年収となりますが、関東地域の平均年収が約440万円であるのに対し、四国・中国地方においての平均年収は約390万円というデータもあります。

全体の平均年収と比べて平均年収が低い地域もありますので、できるだけ高い給料を求めるのであれば、平均年収が高い地域へ移り、転職することも考えた方がいいかもしれません。

ただ、経験年数、スキルなども関わってくることですので、その点は理解しておきましょう。

派遣社員の平均給料

派遣社員の給与は、平均時給が1,600円程度で、その金額を元に年収を換算するとおおよそ300万円程度となります。

東京を含む関東エリアの給与は、他の地位域の給与と比較すると時給にして200円~400円ほども高くなっており、中でも東京近郊で機械系の開発を含む業務では、時給3,000円以上の求人もあるようです。

派遣先で働きを評価してもらい、双方の意思が一致した場合、そのまま派遣先の正社員となるケースもあります。

既婚女性や育児など家庭と仕事を両立させたい人にとって、決まった時間だけ働けるデスクワークとして高い人気を誇ります。

また、男性でも独立したものの、収入が安定しないといった理由から、収入を安定させるため、大手ゼネコンなどで仕事をするケースもあるようです。

正社員で雇用された場合、30代を過ぎると設計のスキルや現場の知識を持っていないと、年収アップさせるのが難しいのに対し、派遣の場合、スキルとこれまでの実績さえあれば、年齢制限なく働けるところが、魅力になっています。

アルバイト・パートの平均給料

つづいてアルバイトの給与ですが、平均時給は1,000円ほどというデータがあります。

派遣社員のケースと同様に求人の数は、東京を含む関東が一番多い傾向にあります。

アルバイトやパートにおいては、未経験での募集も多くありますが、その分、時給に反映されるため、時給もやや低めの傾向にあると言えます。未経験から目指すのには、アルバイト・パートで経験を積み、派遣として転職した方がいいかもしれません。

また、2次元の図面を描く求人とRevitやArchiCADのようなソフトを扱う求人と比較すると、現状では後者の求人ほうが給与が高いため、アルバイト・パートをするにしても、BIMの技術を持っているオペレーターのほうが時給の面で有利といえるでしょう。

これは、2DCADと比べると複雑な操作方法になるのと、新たな知識を必要とするため、その分スキルが高く評価されるという理由もあります。

給料アップにつながるポイント1「経験・スキル」

経験

専門学校やスクールなどで操作を習得し、基礎ができている状態で企業に入社して、企業に入社してから経験やスキルを伸ばしていく方法と、未経験からアルバイトなどで企業に入社し、ゼロから技術を付ける方法などがあります。

ただし、技術職であるため、未経験ではできることも少なく、入社したての新人とベテランとでは、やはり給料面でも開きが出てきます。

そのため、早い段階から働き始め、経験を積むことが給料アップにつながると言えます。

スキル

ものづくりの業界の中で、比較的に女性の比率が高い職種でもあります。男性75%女性25%ほどの比率になっており、女性にも活躍する場が十分ある職種です。

採用する際は、性別を問わず採用する場合が多く、今後ますます女性が活躍しやすくなることも予想されます。

中には、事務員として採用された女性社員が、入社後に技術を習得し、仕事の幅を広げるというケースもあるようです。

また、経験を積みながら設計の知識を習得し、設計士やデザイナーとしてキャリアアップするケースもあります。

このように、性別に関係なく、スキルが評価される職種で、バリバリ働きたい方は、努力次第でスキルを伸ばし、キャリアアップすることも十分に可能で、その分、給料面にも大きく変化をもたらしてくれることでしょう。

身につけておきたい、3DCAD・BIMの知識

2DCADの技術はもちろん必要ですが、近年はBIMが普及し、3Dでモデリングしたものから、必要な部分の2Dの図面を取り出すという作業の方法も、確実に増えつつあります。

求人情報からも大企業を中心に、経験者を優遇している募集も多くなってきています。建築系では「Revit」や「ARCHICAD」といったソフトを使えると、有利に職場を選択することができ、それに伴い給料面のアップも見込めるでしょう。

モデリングソフトやレンダリングソフト、法令チェックソフトなど、ひとつの元データを様々な方法で利用する周辺ソフトも充実してきており、BIMのスキルはこれから益々企業から重宝されることになりそうです。
まずは基本となる2DCADのスキルを身につけ、作成過程の違いを知ることで、深い知識を持ったCADオペレーターを目指してみてはいかがでしょうか。

給料アップにつながるポイント2「資格」

資格はあるのかと考えたとき、CAD利用者技術試験やオートデスク認定プログラムなどの資格を思い浮かべる人も多いですが、それらが、就職や転職の際に有利になったり、給料アップにつながったりすることは考えにくいのが現状です。

実技に関する資格よりも、専門性の高い、建築士やプロダクトデザイン検定、インテリアコーディネーターなどの各分野に特化したものを目指したほうが、給与アップという点では現実的です。
建築士やインテリアコーディネーターといった、専門的な資格を持っていれば、業務に加えより責任ある仕事を任されたり、企業によっては手当がついたりすることもあります。

給料アップにつながるポイント3「能力」

給料をアップさせるために求められるには、どのような能力が必要でしょうか。3つの項目別にみていきましょう。

速さ、正確さ

設計士やデザイナーの指示を正確に聞き取り、正確に図面に落とし込むことが仕事です。当然、同じ仕事を速く正確にこなすことができると、企業からの評価も高まります。

図面の速度をアップさせるには、適切な場所で適切なコマンドを選択する必要があります。腕の見せどころと言えるでしょう。

事前にトラブルを回避する

小さなミスが大きなトラブルを招くことになる仕事です。自分の描いた図面で、多くのスタッフが動き、実際にものが造られるということを頭の片隅に置き、責任感のある仕事をすることが求められます。

図面にミスがないか、目的からずれていないか、常にチェックするように心がけましょう。

コミュニケーション

一日中パソコンの前で一人黙々と作業しているような印象がありますが、やはりコミュニケーションの能力は必要です。

設計士やデザイナーの指示を正確に聞き取り図面に反映するのはもちろんですが、時には疑問点を解決するため、設計者に質問する必要がある場面もあるでしょう。

大きなプロジェクトで仕事をする場合、CADオペレーターが複数人もいる場合もあり、コミュニケーションは必要不可欠なものとなります。円滑なコミュニケーションができると、企業からの評価も高くなります。

給料がアップするポイント4「プラスαのスキル」

企業に所属している限りは、スキルアップする事や、資格を取得して自分の価値を高めたりすることが求められます。

多様な働き方ができるので、スキルを武器に設計士やデザイナーへキャリアアップすることも可能ですし、3DCADやBIMなど、新しい技術を取り入れることも可能です。

いずれにせよ、自分自身をレベルアップさせるため、なりたい自分の将来像をイメージし、どうすれば理想に近づけるのかを考えてみる必要がありそうです。

先に述べたように、スキルがアップするにしたがって、収入もアップする職業です。収入アップを目指して、プラスアルファのスキルを身につけてみてください。

やりがいを見つければ給料アップにつながる可能性も!

仕事の楽しさ

様々な世界で必要とされるCADオペレーターですが、たとえば建築系であれば、自分が設計図面を描いた建物に街で出会ったとき、大きな喜びを感じることができます。

建物は30年40年50年と、長い間使われるものですし、後に残る仕事に携わったという実感や達成感を味わうことができるのは、建築系ならではのやりがいであると言えるでしょう。

ものづくりの一端を担う仕事は、世の中のためになっている実感を得られやすく、仕事の醍醐味を感じることの多い職業ですが、喜びや醍醐味を感じたりするのは、何も作品が完成した後だけではありません。

地味な作業にも見えますが、日常の作業の中でも、やりがいや達成感を感じることができるのも、魅力です。

たとえば、建築デザインの業界では、お客様に建物の完成した様子をイメージしてもらうために完成前に3Dパースを提供することもあります。試行錯誤し完成に至ったパースが、お客様に喜んでいただけた時も、仕事の中で喜びを感じる瞬間でしょう。

住宅設計などではプランナーや営業担当の社員から、予想以上の完成度だったと褒められれば、仕事のやる気も一層高まることでしょう。

地味な作業の中にも多くのやりがいを感じられる仕事であると言えそうです。

一方、複数のプロジェクトを兼務することが多く、締切りに追われながら作業しなければならない場合もあり、大変な仕事であることも事実です。

プロジェクトの規模が大きくなればなるほど、作業が遅れた場合の損失もそれだけ大きくなり、企業の信用にも関わってくるので、大きなプレッシャーを感じながら仕事をしなければならないこともあるでしょう。

しかし、大きなプロジェクトを成し遂げると、達成感や自信を得られることができ、自分自身のスキルアップとメンタル面の成長につながります。

お客様の要望を一番に考える、ものづくりの業界では、常に責任感を必要としますが、それだけ充実感と達成感を感じることができる仕事であることは間違いありません。

CADオペレーターの今後

今後求められること

近年、新しいIT関係の技術として、人工知能(AI)が注目されています。一部では、様々な職業がAIの発達により、必要なくなるのでは?といった、少し前までSF世界の夢物語だったような話も聞こえてきます。

しかし、現在のところその答えは「NO」であると言えます。

3DCADが発達し、さらにBIM技術は発展し、作図業務がどんどん楽になっている現状もありますが、やはり肝心なところは人の手が必要です。

ものづくりには多くの人間が関わることになり、複雑な人間関係や人の感情を汲んだコミュニケーションなどは、今のところAIに取って代わることは不可能だと言えるでしょう。

一方で、図面を作成する方法というのは、どんどん簡単になってきていることも事実です。

たとえば、昔はパースの作成は絵心のある限られた人間しかできない言わば特殊な能力でした。しかし、3Dパースの出現により、一度3Dでモデリングしてしまえば、誰でも簡単に自由な視点からパースをレンダリングすることができるようになりました。

このように技術の発達により、特殊な技能であった手書きパース職人という職業は、あまり必要のない職業になってしまいました。

今後は2D図面を描けるだけでは、必要とされなくなってしまうことは十分に考えられます。

近年の建設業界では、大企業を中心としてBIMの導入が増加していますが、。オペレーターが不足しているのが現状です。そのため、3DCADやBIMの操作ができるCADオペレーターの需要は高まっています。

これからの時代を生き抜くには、新しい技術に関心を持ち、自分の知識を常にアップデートしつづけることだと言えるでしょう。

将来性

現在、設計業界の第一線で活躍するエンジニアの多くは、自分でCADを操作することができる世代に交代されており、図面を描くだけが専門のCADオペレーターという職業は、少しずつ需要がなくなってきていると言えます。

とくに2DCADは、高性能なソフトが無料で提供されていることもあり、パソコンさえあれば誰でも手軽にスキルを習得することができるので、以前より専門性が低下したと言えます。

これからの時代を生き抜くには、CADの操作は最低限できなければいけない作業のひとつと考え、やはりプラスアルファ何かができなければ厳しいと言えそうです。

これを機会に新しい技術の習得にチャレンジしてみて、給料アップを目指すことはもちろん、長く活躍できるCADオペレーターを目指しましょう。

デザイナーや設計士や建築士にキャリアアップするのもひとつの方法です。セミナーやスクールに通い、3DCADやBIMの技術を習得するのも良いでしょう。

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