CADアプリならスマホやタブレットでも作図可能!無料で使えるCADアプリをご紹介

CADソフトと言えば、パソコンで動かすソフトをイメージされる方が多いのではないでしょうか。ここではスマートフォンやタブレットで動くモバイル版のCADアプリ、しかも無料で利用できるものを紹介していきます。CADアプリを取り入れて、有効に作業をすすめてみませんか?

CADアプリでできること

CADアプリとは

CADアプリとは、スマートフォンやタブレットを使って、設計製図するためのソフトのことです。

アップル製品のiOSや、Googleが提供するAndroidなどがスマートデバイスのOSとして有名で、それらに対応したアプリも数多く提供されています。

インターネットの接続環境と、端末さえあれば、その場でアプリをダウンロードし、すぐに利用できることが魅力です。

CADアプリでできることとは

CADアプリを使えば、以下のようなことができます。

・作図データの閲覧・読み込み・書き込み・編集・保存

・クラウドを利用してのデータシェア

・タッチパネルを使った感覚的な操作

CADアプリを使えば、図面のエクスポート(書き込み)、インポート(読み込み)ができるほか、アプリによっては、データを保存し、さまざまなファイル形式で書き出すことも可能です。

無料で提供されているCADアプリでは、PCで利用する完全版と比較した場合、機能が限定されてしまいます。しかし、図面を閲覧したり、編集を加えたりするには、十分な機能が搭載されており、タッチパネルを使った拡大縮小機能など、PC版にはない、良い点もあります。

CADアプリを使う前の事前準備

クラウドサービスへの登録

CADアプリを利用する大きな利点に、データの共有が容易にできる点があげられます。しかし、このデータ共有をするためには、多くのアプリで、事前にクラウドサービスに登録しておく必要があります。

有名なクラウドサービスには、マイクロソフトから提供されているOneDrive、Appleから提供されているiCloud、その他Google ドライブや、Dropboxといったものがあります。

基本的に登録は無料で、無料のライセンスでも、かなりの容量を利用できるサービスが多いです。CADアプリを利用するのであれば、事前に登録を済ませておくと良いでしょう。

データ形式

CADアプリを利用して作成したデータを共有する場合、データ形式について知っておく必要があります。多くのCADソフトで互換性のあるデータの形式には、「DXF」と「DWG」の2つの形式があります。

そのため、CADアプリで使われるデータの形式の多くも、DXFとDWGのファイル形式を採用しています。

とくにDXFは、ほとんどの2DCADで使うことができるデータ形式です。CADによっては多少の文字化けや、寸法線が表示されないなどといった障害もありますが、どのCADでも、図形は概ね読み込むことができるでしょう。

日本の建築業界で多く利用されるJw_cadのデータ形式、「.jww」については、海外製のアプリが多く、互換性がない場合が多いです。そのため、アプリを利用する際は、変換が必要になるケースがあります。

導入するCADが決まっている場合は、事前にデータ形式が対応しているかを確認しておきましょう。

無料で使えるCADアプリ

CADアプリ1:AutoCAD

はじめに紹介するのは、Autodesk社がリリースする、世界でトップシェアを誇るCADソフト「AutoCAD」のモバイルアプリ版です。

Autodesk純正のアプリなので、AutoCADやAutoCAD LTのデータをそのまま利用でき、マルチデバイス対応、自由なスタイルで作図をすることができます。

モバイルアプリ版は、PC版のAutoCADより、直感的な操作ができるところが大きな魅力となっています。

また、パソコンがない現場でも、スマートフォンから、図面を閲覧したり、ちょっとした修正をしたりできる点は、実務上で嬉しい機能です。

■無料モバイルアプリ版AutoCADでできること

・図面のアップロード、並びに閲覧

・図面の寸法計測、面積取得

・クラウドストレージとの連携(Dropbox、Google Drive、One Drive)

・GPSを使い図面の中をウォークスルーする機能

・ファイルデータの共有と出力(DWG、DWF、DWF)

■有料モバイルアプリ版AutoCADでできること

・オフラインでも、すべての機能を使うことが可能

・サポートを優先的に受けられる

・ブロック図形の挿入

・すべての作図コマンド、編集コマンドの利用が可能

・図面にメモやコメントを書き込み

・図面への写真挿入することができる

・アプリ内において、図面の新規作成が可能

なお、有料プレミアム版は、7日間の無償体験期間を設けています。

■iOSデバイスでの機能

モバイルアプリ版AutoCADの魅力は、Apple Pencilにも対応しています。Apple Pencilを利用することで、手書き感覚で線分やポリラインを作成できるうえ、図面に文字や手書きのスケッチも描くことができるので、デザインを起こす際にも活躍してくれるでしょう。

iOSは、画面を分割して作成することができるため、Safariで調べながらAutoCADを操作したり、メモ帳にアクセスしながらAutoCADに情報を書き込んだりといった使い方もできそうです。

また、2019年にリリースされたiOS13では、アクセシビリティ機能として、新たにマウスでiPadを操作する機能が提供されました。PC版のAutoCADのように、マウス操作での作図も可能です。

Apple Pencilやマウスと、自分にあった自由なスタイルで作図できるのは、iOS版AutoCADの魅力と言えます。

有料版のAutoCADは、1ヶ月550円~、1年間5,500円(1ヶ月あたり458円)~で提供されています。

なお、Autodesk社では、「DWG True view」という無償のビューワも提供しています。

DWG True viewでは、AutoCADの図面ファイル(DWG、DXF)の表示、印刷をすることが可能です。

AutoCADのモバイル版アプリのように、図面の作図や編集はできませんが、AutoCADを持っていないユーザーで、AutoCADで作成した図面を閲覧したい場合には重宝するアプリと言えるでしょう。

作図や編集はおこなわず、出先でちょっと図面を確認したい程度であれば、無償のアプリ「DWG True view」で十分役立ちそうです。

CADアプリ2:ARES Touch

ARES Touchは、AutoCADとの互換性が高いCADアプリで、すべての機能が日本語に対応しており、日本人エンジニアにも分かりやすいUIが売りとなっています。

図面に音声を添付する機能や3次元対応など、すべての作図機能を使うには、有料登録する必要がありますが、図面の閲覧や簡単な編集作業であれば、無料版でもおこなうことが可能です。

重いデータを取り扱っても、モバイルCADアプリとは思えないほど、快適に扱うことができます。

■無料版ARES Touchでできること

・利用者が同じであれば複数のデバイスにインストールできる

・図面ファイルをクラウドストレージ(Dropbox、iCloud、Google Driveなど)での同期が可能

・DWGファイルの読み書き及びデータシェア

・図形選択、スナップ、拡大鏡、トラッキング、座標入力などのツールの利用

・計測、面積、距離、座標の表示

・注釈、文字、寸法、引き出し線の追加

■有料版ARES Touchでできること

・線分、ポリライン、円、楕円、スプライン曲線、点、ハッチングなどの作図機能

・分割、結合、トリム、延長、整列、オフセット、フィレット、面取りなどの修正機能

・クイック修正機能(選択図形をコピー、移動、回転、尺度を組み合わせて修正)

・図面における写真やコメントの記入

・音声を録音して図面に挿入できる

・カスタムコマンドの追加

CADアプリ3:CAD Pockets

CAD Pocketsは、画面上に日本語の解説が表示されるので、CADを使用したことがない初心者や、英語が苦手な方にも、おすすめできるモバイルCADアプリです。

分かりやすいUIが最大のポイントで、シンプルな操作方法で感覚的に作図できます。

CADアプリでありながら、間取り作成アプリの要領で、高精度な図面を作成できるのが、CAD Pocketsの魅力となっています。

PC版でも読み込める形式でのデータ書き出しが可能なため、CAD Pocketsでザックリと図面を作成し、詳細図面はパソコンCADで作成する、といった利用もできそうです。

■CAD Pocketsでできること

・オフラインですべての機能が使える

・外部クラウドストレージとローカルのどちらにもファイル保存ができる

・クラウドストレージのファイルに直接保存、更新が可能

・DWG、DXF、DWFファイルの表示、作成、編集がおこなえる

・PDF、DWF、JPG形式での書き出し、Emailを使ったデータシェアが可能。

・図面作成、図面の修正、文字や寸法の記入

・図面内のテキスト検索

CADアプリ4:DWG FastView

DWG FastViewは、事前のユーザー登録が不要な無料のCADアプリです。図面作成、閲覧、編集など、すべての機能を制限なく使うことができ、AutoCADとの互換性が高いのも、DWG FastViewの特徴です。

2次元CADとしての機能だけでなく、3次元データの閲覧や編集にも対応しています。

■DWG FastViewでできること

・Dropboxへのアクセス

・PDF、BMP、PNG、JPG形式で図面データの出力

・DWG、DXF、DWFデータの読み込み、編集やシェアも可能

・コマンドでの作図の他、座標値を入力しての作図

・タッチパネル操作での感覚的な、図面の拡大や画面移動

・3次元データを画面タッチにより、回転させて閲覧できる

CADアプリ5:IJCAD Mobile

IJCAD Mobileは、DWG FastViewと同じように、AutoCADとの互換性が非常に高いという特徴をもったモバイルCADアプリです。

日本語に対応しているCADアプリで、課金することなく、すべての作図機能や、コマンドが利用できます。

また、画面のインターフェースが分かりやすく、PC版のCADと変わらない機能を、初心者でも気軽に使えるでしょう。

ヘルプ機能も充実しているので、操作方法に困った場合でも安心です。

IJCAD Mobileは、今までCADになじみのなかった初心者にもおすすめできる無料CADアプリと言えます。

■IJCAD Mobileでできること

・インターネット接続環境のないオフラインでも、すべての機能を使うことができる

・クラウドストレージ(OneDrive、Dropbox)から直接ファイルが読み込める

・さまざまなデータシェアの方法を使える(SDカード、USB接続、メール添付、クラウドなど)

・コマンドによる作図の他、座標入力による作図も可能

・DWG、DXFデータの読み込みと保存

・タッチパネル操作での、ズームや画面移動できる

・PC版AutoCADと同じ用に、モデル空間とレイアウト空間の切り替えが可能

・最新図面管理機能を搭載により、常に最新の図面を確認できる

CADアプリ6:TurboViewer

TurboViewerは、その名前の通り、ビューワ機能を主としたモバイルCADアプリです。2次元と3次元の両方に対応しており、重い3次元データでもサクサクと軽快に動かし、360度どの方向からでも軽快に閲覧することができます。

2次元、3次元ともにAutoCADと互換性を持っており、これからAutoCADで3次元図面を作成してみたいと考えている人は、始めのステップとして触れておきたいCADアプリと言えるでしょう。

現在のところ、日本語対応はしておりませんが、英語力がなくても、ある程度操作することができる、分かりやすいUIを採用しています。

あくまでビューワですが、画面にメモを手書きで書き込んだり、注釈を入れたりすることも可能なので、AutoCADの機能を補完するアプリとしても利用できそうです。

■TurboViewerでできること

・Dropboxなどクラウドストレージへの保存

・DWG、DWFでのデータの入力、出力

・タッチパネルを使った感覚的な操作による拡大縮小、画面の移動

・3次元データをあらゆる方向から閲覧

・図面への手書きメモや雲マークを使ったメモの挿入

CADアプリ7:CAD Touch

CAD Touchは、現在対応言語が英語のみのモバイルCADアプリですが、インターフェースが分かりやすい構成になっているので、高度な英語ができない方でも、安心して利用できるアプリです。

ヘルプ機能が充実しており、ヘルプからyoutubeのチュートリアルに移行すると、基本から実践までを映像で分かりやすく教えてくれます。

無料版では、ファイルを保存して開くことができないので、フルバージョンを購入しなければなりませんが、一度購入すると毎月料金を支払う必要はありません。

■CAD Touchでできること

・インターネット環境を必要としないアプリなので、オフラインですべての機能を利用できる

・あらゆるコマンドをツールバーから実行

・タッチ操作によって図形の選択や点の指定

・すべてのコマンドをタッチ操作でおこなえる

・スタイラスペンにも対応

・AutoCADのDWGデータやDXF、PDFデータも扱える

CADアプリ8:biiCADo

biiCADoは、英語とドイツ語のみ対応しているモバイルCADアプリです。閲覧と修正程度であれば、フリー版でも利用できますが、25個以上のオブジェクトで新たに作図する場合、課金して有料版へアップグレードする必要があります。

CAD操作に慣れている人であれば、感覚的に操作できるUIとなっています。操作に慣れている人や、言語に自信のある人はチャレンジしてみるのもよいかもしれません。

■biiCADoでできること

・DXFファイルの出力と入力

・ローカルとクラウドサービスのどちらにも保存可能

・PDFファイルの書き出し

・パソコン版のCADに近い作図編集コマンドを利用できる

CADアプリ9:JwwViewer

JwwViewerは、日本の建築業界において、高いシェアを誇るJw_cadのビューワソフトです。

DWGやDXFに対応したモバイルCADアプリは多数リリースされていますが、Jw_cadのデータ形式「.jww」に対応したアプリはあまり提供されておらず、Jwwのユーザーとしては、待望のビューワソフトだと言えるでしょう。

レイヤグループごとの表示、非表示にも対応しており、ビューワソフトしては十分な機能を実装しています。

■JwwViewerでできること

・使っているデバイスによって縦表示と横表示の切り替えが可能

・レイヤグループごとに表示、非常時の切り替え

・Dropboxなどのクラウドストレージに保存しているデータの読み込み

※JwwViewerは、あくまで実験的に提供されているアプリなので、最新のOSやデバイスでの動作の保証はされていません。

CADアプリ10:A360

A360は図面を閲覧するために開発されたビューワ専用ソフトです。2Dと3Dの両方に対応しており、数多くのファイル形式に対応しているのが大きな特徴です。

編集はPCを使いおこなうので、ビューワ機能だけを必要としている人にピッタリのソフトです。

■A360でできること

・DWG、DWFの他、RevitやSOLIDWORKS、CATIAのデータ形式にも対応

・タッチ操作でズームイン、ズームアウトが可能

CADアプリの選び方

CADアプリを選ぶ際にポイントは、下記の3つがあげられます。

1.メインCADソフトとの互換性

自分が普段利用しているメインCADソフトとの互換性が重要です。選ぶソフトを間違えると、図面データを開けなかったり、うまく表示できなかったりするケースもあります。

2.操作性

こればかりは、実際に操作してみないと分からないので、有料版の場合は、無料体験できる期間などを利用して、実際に利用してみるのが良いでしょう。

3.利用シーンにあったアプリを選ぶ

さまざまなCADアプリが存在しますが、高機能なCADアプリであればいいというわけではありません。閲覧するためだけに使うのであれば、余計な機能がない方が使いやすい場合もあります。

自分の利用シーンを良く考え、適切なアプリを選択しましょう。

CADアプリのまとめ

モバイル版のCADアプリは、スマートフォンやタブレットなど、インターネットに接続できる環境さえあれば、誰もがすぐにCADで作図を始められるのが最大のポイントです。そのため、CAD作図の世界への入り口として、敷居が低く入りやすいと言えます。

モバイル版のCADアプリとはいえ、近年は高機能化しており、使い方によっては、フルバージョンのCADソフトと、変わらない図面を描くこともできるようになってきています。

まずは、モバイル版のCADアプリに触れてみて、操作に慣れてから、本格的なCADソフトを導入してみるといった使い方もありそうです。

CADソフトに興味を持っている方は、モバイル版から、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。

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