CADオペレーターの実務経験を重ねて建築士を目指すことは可能?

CADオペレーターの仕事というのは、建築士とともに働いていく仕事です。時には製図補助のような業務を任されることもあります。では、実務経験を重ねていくことで、建築士になるということは可能なのでしょうか。

CADオペレーターの仕事とは

実務は、建築士から受け取った図面を元に、CADソフトでそれをトレースしていくというのが主な業務内容となります。また、必要に応じて指示を元に図面を修正する場合もあります。

このようにソフトを扱った仕事内容であることから、なるためには、資格が必要ではないかと考える人もいます。実際、資格も様々です。

しかし、仕事には資格は必要ありませんので、ソフトの技術や知識、ソフトを扱った経験があれば仕事をすることができます。

資格取得が就職や転職に結びつくことはありませんが、基本的な知識を身につけたり、技術を学んだりするにあたって、資格取得を目指すことでモチベーションが挙げられるという利点もあるため、資格取得を目指す方も少なくありません。

一種の専門職ですが、この仕事を専門として長く継続していく人もいますし、中にはさらなるキャリアアップを目指していく人たちもいます。

実務経験を重ねて建築士を目指すことはできるのか

では、実務経験を重ねることで、建築士を目指すことはできるのでしょうか。

結論から言うと、実務経験だけでは建築士になることは難しいです。それには、資格の免許登録要件にある実務経験が関係しています。

受験概要・免許登録要件について詳しく見ていきましょう。

建築士の受験概要

まず、建築士を目指すための建築士法というのは、平成30年12月14日に一部法改正がなされました。それまでは試験を受けるには実務経験が必要だったのですが、令和2年3月1日からはこれが撤廃されています。令和2年度からは、建築士法は新しい制度の下で運用されるようになりました。

この背景には、建築士が不足しているという現状があります。現在、業界は活況を呈していますが、建築士の高齢化や若手の不足などが問題となっています。そのため、実務経験を不要とすることで、受験のハードルを下げることにしたのです。先に書いた通り、法律の緩和前には実務経験が必要でしたが、緩和後には実務経験がなくても資格を取ることが可能になっています。

・免許登録要件とは

しかし、資格を取ればそれで終わりというわけではありません。業務を行うには、建築士の免許登録を行わなくてはいけません。この免許登録には実務経験が必要となってきます。

一級建築士の免許登録要件は、大学卒業2年以上、短期大学卒業3年または2年以上、高等専門学校卒業4年以上の単位、または二級建築士として4年以上の実務が必要になっています。二級建築士の登録要件は、大学・短期大学・高等専門学校卒業の必要はなく、高等学校・中等教育学校2年以上の単位、または7年以上の実務が必要です。

なお、一級建築士の場合には国土交通大臣が同等と認める者、二級建築士の場合には都道府県知事が同等と認める者も資格取得後の免許登録が可能となっています。

・免許登録要件に含まれる「実務経験」とは

免許登録要件に含まれる「実務経験」の内容は、法律によって明確に定められています。建設会社で働いていたからそれが実務経験になる、というわけではないので注意が必要です。なるための実務経験とは、以下に挙げる7つになっています。

1.建築物の設計に関する実務

2.建築物の工事監理に関する実務

3.建築工事の指導監督に関する実務

4.建築物に関する調査又は評価に関する実務

5.建築工事の施工の技術上の管理に関する実務

6.建築・住宅・都市計画行政に関する実務

7.建築教育・研究・開発及びそのほかの業務

このように、設計図書・施工図等の図書と密接に関わりをもちつつ、全体を取りまとめる、建築関係法規の整合を確認する又は建築物を調査・評価するような業務が、実務と認められます。

その一方で、「標準的な設計を行う業務であっても単なるトレースである業務は除く」「建築物の詳細図の作成はオペレーターを除く」とされているなど、CADオペレーターの業務内容は免許登録要件にある実務には含まれていません。

ただし登録要件を満たせれば建築士を目指すことも可能

一級建築士および二級建築士の資格を取得するためのほとんどは、大学や短期大学などの指定科目を修めて卒業、ということが大前提です。そのため、働き始めてから目指すとなっても、難しいものがあります。

ですが建築士を目指すことは不可能ではありません。

目指すのであれば、まずは免許登録要件に当てはまる業務に携わることが重要なポイントです。そして、前述のとおりその業務を7年以上経験すれば、二級建築士の受験資格、免許登録要件を満たすことができます。

このことから、建築士を目指すのであれば、まずは実務経験と認められるような業務を行い、知識や経験を重ねることができれば、二級建築士、さらには一級建築士を目指すことも十分可能であると言えます。

実務経験を経てキャリアアップできるものは建築士だけではない

CADオペレーターのキャリアアッププランは建築士を目指す、ということには限られません。その他にもさまざまなキャリアアップのコースがあります。

例えば、スキルをアップさせることで、CADソフトやBIMソフトの操作技術を教えるスクールの講師などになることも可能です。また、インテリア業界で仕事をしている場合には、インテリアデザイナーやインテリアコーディネーターになる、といった道も開かれています。

こういった職業を目指す場合、建築士のように学歴や実務経験などの厳しい条件はありません。ただし、その業界ごとの幅広く詳しい知識が必要になってくるので、その点には注意が必要です。そのためにも、CADオペレーターとして仕事をしている間にも、常に新しい情報や技術を取り入れて、自分自身をレベルアップさせていくことが欠かせないと言えます。

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